畑から食卓へ そして元気なカラダへ
The Farmer‘s大西兼司
2020年の革命をきっかけに
今年新たなる2020年を迎え、日本では特にこの年を待ちわびた者も多いはずだ。
日本では7年前からオンリピックイヤーに向けて動き出し、東京近郊エリアでは世界中から沢山の人が来日を予想し、オリンピック会場に纏わる施設や人員、観光業、それに合わせて進んだ全ての企画など測りきれない程ある。
56年前の東京オリンピックとは遥かに違う、現代のオリンピックを迎えるはずだったに違いない。
全世界で恐らく誰も予想する事のなかったこのウィルス渦に、一気に暮らし方は変わった。
学校の休校、会社のリモートワーク、飲食店、観光施設、商業施設の休業となり、約1ヶ月間の自粛期間は国民ひとりひとりの『暮らし方』について考える良い時間になったに違いない。
家族と共に食べる3食の食卓時間、趣味娯楽をどう楽しむか、仕事の仕方、自宅での過ごし方や時間の使い方を再認識したであろう。
サーファーが始めた農業
18年前に東京から千葉の一宮に移住した大西兼司さんは、自粛期間より農家を始めた一人。
波を求めて千葉の一宮に引っ越して来た根っからのサーファーである。
仕事も長年サーフィン業界に携わり、現在はサーフボードファクトリー業を軸に農業を始めた。
知り合いの農家さんより畑を受け継ぐ事がきっかけとなった。
畑は5人でシェアしておりその名も『the Farmer‘s』。
誰かしら空いた時間に来ては畑に愛を注いでいる。畑しごとは休むまもない、生きものを相手にする仕事。
近年、農家の後継者不足で荒れ果てた畑を目にすることが多い。
畑の素晴らしい土台が雑草だらけになり、朽ちていくのは非常にもったいないことだ。
誰か趣味でも良いから、この畑を活かして欲しいと言う農家さんの声は多い。
大西さん達は時間に余裕ができたこのタイミングに受け継いだ。
美味しい秘訣は海から
The Farmer’sの畑はプルメリアや野菜・果物を作ってきた土俵だ。
畑には十分な栄養が張り付いている。
大西さん達は自分たちで勉強しながら、色々な苗に挑戦している。
夏は夏野菜らしい唐辛子、茄子、空芯菜、オクラ、モロヘイヤ、ミニトマト、ピーマン、ビーツ、ブルーベリー、キウイ、パッションフルーツと種類も豊富。
大西さん達が作る野菜や果実は全て有機野菜。
美味しい野菜を作るのに大切な土には、地元の漁師でありサーファーの方から頂いている海の恵みである海藻を肥料にすることで、有用微生物が土壌を良質な状態にしてくれるなど、一宮ならでは、海と山を融合させている。
収穫した野菜は近所のカフェなどでセット販売や無人販売をしている。
普段口にしている野菜がどんな風に作られて、何ヶ月もの愛情を注がれて育ち、ようやく収穫できるのか?
この流れは一緒に育ててきた者にしかわからない。
食を育てる楽しさはここにあるのだと思う。
どんな種で、どんな花で、どう実るのか。
少しずつ成長することが、こんなにも愛おしく感じる。
子供や動物を育てるのと一緒なのだ。
植物から表現を理解するのはやや難しいが、天気の良い日にたっぷり太陽を浴びていると元気に笑っているように見える。お花が咲くと喜んでいるようにも感じる。
植物は日々の世話をしないと枯れてしまう。
手間隙かけるからこそ、美味しさを噛みしめる。
採れたて野菜と果実は、濃くて美味しい。
大地からの恵み
大西さん達は今後の農家を拡大していくプランを考えている。
一宮は豊水の梨、お米、苺などの産地であり、広大な畑と海のある街。
東京から家族で訪れる人も多い場所だ。
サーフィン好きの両親に連れられて来る子供達も多いので、子供達が楽しめるキウイ狩やブルーベリー摘み農園やキャンプ場を作りたいと計画しているので、益々一宮から目が離せない!
農業に対して関心を持つということは、自分のカラダに取り入れる食に関心を持つ様になる。これからの世の中、どう生活していくのか課題になる一方、自給自足や農業をしながら生活することは多くの方に取り入れて欲しい。
人間のカラダを作る栄養素は大地から生まれ、そして人間の手によって作られている。
きっと大地もカラダも、食卓も喜ぶ。
元気なカラダ作りの秘訣、それは自然が与えてくれる環境と大地から生まれる食にある。