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日本ファッションの礎を築いたブランド直系の英才教育。

TURN ME ON®(ターンミーオン)

2013年頃の話

代々木体育館で開催されていたROOMS(ルームス)というファッションブランドが一同に集う巨大な展示会会場に行った時のこと。

「世にはまだあまり知られてない何か面白いブランドがないか?」とリサーチしていた会場で、大阪から出店していたドメスティックアパレルブランド・TURN ME ON(ターンミーオン。以後TMO)と出会うことに。

 

他と比べて、異質だった展示ブース

ROOMSは様々なファッションブランドが集う展示会はだが、ストリートブランドは割と少なく、さらに言えば「サーフカルチャー」を背景にしているようなブランドはほとんどない。そんな中、サーフとトラッドアメリカン、アイビーファッションっぽさも少し感じられるTMOの展示ブースは異質だった。

2013年前後。アメリカ西海岸系のサーフブランドやそういった背景を持つような日本のブランドも好調で、サーフィンする人やスケートを始める人も急増していたような頃。

変な帽子をかぶっている人が来た。

一度ブース通り過ぎたけど、また戻ってきたの覚えてるわ

オーナーであり、デザイナーでもある三石能隆(ミツイシヨシタカ)氏は私との出会いを懐しそうに思い出を話してくれる。

「TURN ME ON®のブースだけあの展示会の場で浮いてたんですよ。」

アイテムもそんなに多くないのに強気だ、という感想を私は持ちつつも、他のサーフアパレルブランドとは違い、“シンプルでシルエットが美しい”この今まで見たことがないようなサーフ系ブランドのアイテムに惹かれてもいた。

アパレル会社内で2002年にTMOのTEEシャツを1型からスタートして2010年に独立。ブランド拡張を目的にしたROOMS展示会への出展だった。

「大阪だけやなくて関東にもブランドを広げたかった。そのころは、ドメスティックのサーフブランドが特に人気で、インフルエンサーやプロサーファーに着てもらって人気を集めるようなブランドが多かったけど、TMOはそうじゃなくてモノにこだわり、いい服が作りたかった。Tシャツのシルエットにもこだわったから型から作ってたし。」

前者のようなドメスティックブランドは、今でこそほとんど見なくなったが、20年経過してもTMOが残っているのは、前述にあるようなこだわりに惹かれファンになっているからである。

伝説的ブランド直系の教育。

TMOのシルエットへのこだわり。

休日のサーフトリップ。寝る前の心が落ち着いた時間。大好きな映画を見ている時。自分の中のアイデアや前述のアドバイスがデザインへと浮き上がる時間となる。

「さあ、デザイン考えようか!って机に向かっても全然出てこなくって。笑」

仕事を離れ、リラックスしたタイミングでアイテムが具現化されていくことの方が多いと三石氏は話す。ベーシックでオーソドックス。嫌味がなくて程よくスマートなシルエットが特徴のTMO。コンセプトはサーフィンやサーフトリップであり、街でも着られること。

「今でも展示会するたびに父親が訪ねてきてさ、あれはダメ、これはダメ。ここはいい。とか言われるんやけど、これまでくれたアドバイスは、今思えばかなり適切だったと思う。」

父親はあの日本のファッションの礎となるVANの営業マン。ファッションに影響を受けざるを得ない環境だったとのこと。

「小学生の頃なんかは、みんなと一緒のかっこうがよかったのに、俺だけ、ラコステの赤色のポロシャツ着たりしてた。」

サッカー少年でもあった三石氏。小学生たちが着たいのはプーマ、アディダスなどのジャージだ。その頃に、周りとは違う道を父親から促されて、ファッション業界への道を自然と歩み始める。TMOには日本を席巻したファッションのサラブレッドからの教育が強く影響している。

アメリカントラッドをベースに多くの日本人にファッションとはなんぞや?カルチャーとはなんぞや?と礎を築いたVAN。そのブランドが全盛期の頃に所属していた父親だからこそ大事なことには口を出す。

「みんなと一緒のようなジャージとか着たかったのにさ。」

2022年の4月、TMOによる念願の直営店舗が大阪にオープン。

デザイナー自らもショップに立ち接客を行う。

「お客さんの生の声が聞けることによって、これからのモノづくりにきっとフィードバックされるし、良いリアクションも悪かったリアクションもそれがモチベーションにもつながる」という。

TURN ME ONを運営する会社名はSTILL WATER INC.

「昔は軽くて短いサーフボードに乗って、時には大会にも出てたけどさ。今は分厚くて浮力のあるサーフボードに乗り換えた。もうすぐ50歳。感性も今よりはきっと衰えていくかもしれへん。でも、会社名もSTILL WATERでサーフィン続けるし、この先も水の中にいるし。そんな感じでこのブランドも続けて行けたらええかなって。」

20年の間、社名の通り絶え間なく水の中に居続けてサーフカルチャーに寄り添ったアイテムを作り続けた。そして、この先もパドルをし続けるようにモノづくりを続ける。

「今思うことは、この直営店をみんなが溜まってくれる社交場のような場所にしたいなってことくらいかな。笑」

20th ANNIVERSRY COLLABORATION

with KOJI TOYODA(Palm Graphics

20周年のコラボレーション企画として、大阪在住のサーフアートの第一人者・Palm Graphicsの豊田弘治氏とのコラボアイテムが発売。

ボディはもちろんMADE IN JAPANで4色展開にてリリースされている。

https://www.turnmeon-onlinestore.com/?pid=167646672

TURN ME ON®(ターンミーオン)

https://www.instagram.com/turn_me_on_2002/

TURN ME ON®2002年1型のTシャツからスタート。パドルアウトして波に乗る。このシンプルなルーティーンに無限の魅力があるサーフィン。無駄を省いたスタンダードなデザインをコンセプトに、自然の中にいるような心地良い素材感と、都会的で洗練されたスタイルを兼ね備え、街と海それぞれのライフスタイルに寄り添うウェアを提案。

三石能隆(オーナー/デザイナー)

1975年生まれ。19歳から本格的にスケート&サーフィン三昧な毎日を過ごす。2022年自身のブランドTURN ME ONが20周年を迎え、大阪の4月に直営店をオープン。